Hawaii Diary



Barrier Reef

2005年8月
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2005年8月1日 (月)  浄水フィルタ

注文しておいた家用の浄水ピッチャーみたいなのがやっと届きました。ハワイは水道水もきれいで
飲めるんですが、うちのアパートは古いので水道管に悪い塗料とかが使われてるかもしれんと
言われていて(だったら交換してくれー)、いちおう毎週のように水のタンク(重い、、)を買って
いたのだけど、浄水フィルターとか使えばいいんじゃん、ということに5年目にして気づきました。
(日本でも台所の蛇口についてる家がけっこうあるけど、、使った習慣がないと思いつかないもん
なのよ。)で、蛇口につけるタイプだと、こっちは気温も湿度も高くてゴキとかアリとかが入り込む
と逆効果なので、ピッチャータイプにしたわけです。どうせ大量に飲むわけでもないので小さいやつ。
木炭の粉みたいなフィルターを通すだけなんですが、元々たいしてこだわりがないので、おいしいのか
まずいのかいまいちよくわからず。味も臭いもしないですな。見ためがきれいなピッチャーなので
おいしい気分にはなる(その程度)。とりあえず見えない有害物質を取り除くということで。

2005年8月2日 (火)  宇宙でのシャトル補修作業

今日も夜更かししてNASAテレビ。どうか無事に帰ってこれますように。
この先20年の宇宙開発はどうなるのかな。いろいろ覚悟しないと。

2005年8月3日 (水)  キター!!

アップルミュージックストア日本版がついに開店〜!やった〜!
品揃えがマニアック〜。なつかし系がいっぱい〜。というわけで、忙しいのについつい試聴。

2005年8月5日 (金)  南極望遠鏡

アングロ・オーストラリア観測所(AAO)のピーターさんのトークがありました。もう定年過ぎてる
けど根っからの開発少年魂で、いまだに遊びと仕事で休む暇もなく世界中を飛び回っている。
3年前にオーストラリアで会って(その後会ったかな、、、?)、今回ハワイに来たその日に
たまたま廊下で会ったら私より先に気づいて話しかけてくれた、ナイスなおじさま。
今回はFMOS開発の豪側ボスとしてハワイにきたので、トークの前半はその話。
トークの残り半分は南極望遠鏡の話。南極で可視・赤外の天文観測することのメリット・デメリット
をきれいな写真で次々と紹介。なかなか大変そうけどおもしろそう!既にいくつかプレ観測所みたい
なのはあって、研究してる人がいるんだねー。行ってみたいな。特殊飛行機&雪上車で行くらしい。

2005年8月7日 (日)  雨天

週末に山頂で長時間・確実に仕事をするなら夜間しかない、ってことで週末は夜に山頂で
ごにょごにょと作業。天気悪いのが続いていて、雨も降ってるし、道は凍結してるし。。。
来週の試験観測までに回復してくれー。

2005年8月8日 (月)  マカリィスクール

今日から高校生による観測体験、「マカリィ・スクール」。観測直前で忙しいのわかってたのに
初日のトークを引き受けてしまっていた。。。
なので朝に山から帰ってきて、ちょっと休んでトラペ準備。難しいことはなしで、写真をいっぱい
見せる。すばる望遠鏡で130億光年の銀河発見とか生まれたての星発見とかニュースが増えたけど、
望遠鏡があるだけじゃそういう発見はできません、観測に合わせていろいろな観測装置があって、
望遠鏡と同じくらい長い時間と努力をかけてその観測装置を作った人たちがいて、それを毎日
メンテナンスする人たちがいて、そうして日々の観測ができるので、そういうことをよく知った
うえで貴重な観測時間を楽しんでほしいです、みたいなやや説教的なお話しをしました。
でも高校生だからこそ、これ撮りたいといってデータ持って帰るだけじゃなくて、その一枚の画像が
すごくたくさんの人の努力に支えられて吐き出されるものだということを知っておいてほしいと思う。

2005年8月9日 (火)  マイクロカロリーメータ

「すざく」のカロリーメータ、ヘリウム漏れで冷却できず、、、。
これは、作った人としてはほんとに悔しいだろうな。なんとかして宇宙に飛んでいってヘリウム充填
したくなると思う。
60mK(絶対温度で0.06K)に保ったセンサに天体からの光の粒が入ってきたときの温度上昇
を測って光のエネルギー(天体の活動性)を測定する装置。学部のときの研究室はまさにこの装置の
一部を担当していて、4年生のときの最初の課題は「わたしたちは60mKで動作する装置を作って
いるが、その60mKを精度良く測定・制御するにはどうすればいいか考えてみて」でした。当時
そんな温度は想像もつかなくて、なんじゃそりゃって感じ。それが私の実験・もの作りの最初の一歩でした。

2005年8月10日 (水)  1日1個

ここ2週間あちこちからパパイヤの提供が続き、毎日1個食べてます。幸せ〜。

2005年8月11日 (木)  観測の女神

今日から試験観測。今回からは分光観測が主ということでいろいろはりきって準備。ところが先週
から山頂の天気はかなりひどくて、うちの装置の「快晴伝説」ももはやここまで、とみんな諦めて
いました。当日夕方も、山頂への道は視界30mくらいのひどい霧。ところが!夜になってどんどん
雲が晴れてしまいにはカンカン晴れ!あまりにも運が強すぎると誰もが驚いていたところ、
これまでの試験観測を皆勤してるのはわたしだけ、ということが判明し、チームのみなさんから
「超強力晴れ女」に認定されました。みなのもの、うやまってくれたまへ。
試験観測そのものは、、、まあステップ・バイ・ステップって感じでした。さすがに分光はそんなに
簡単にはいかないですから。今までで一番エンジニアリングっぽい夜でした。

今夜はペルセウス流星群のピークだったらしく、山頂モニタにも流星が写っていました。
ケック望遠鏡がレーザーガイド星を使った補償光学観測中で、レーザービームも見えていたらしい。
なんと賑やかな夜空で。

2005年8月12日 (金)  大停電

観測準備のために早く起きたら、なんと山頂で大停電になってました。ケック望遠鏡で電気系統の
火事があって、すばるとあと2つくらいの望遠鏡がとばっちりを受けてました。装置内部のステータス
を知ることができないままとりあえず待機。
停電から7時間以上たった午後3時、復電の見込みがたってすぐに山頂に上がりました。停電時間
が長かったため非常用電源も力尽きてあちこちの機械が死に、被害は大きくなっていました。
非番のデイクルーも富士通の人もとにかく総動員で修復にとりかかっていました。一部エレベータが
使えずに、階段も昇り降りでした(※ここは標高4200m)。空調が壊れたので、すばるドームも
コンピュータ室もあらゆる窓やドアをあけて自然換気していました。摂氏0℃の風に感謝。
装置は冷凍機が止まったためにかなり温度上昇していました。あちこちチェックしてから再冷却開始。
しかし温度が高すぎるために、今夜の観測はキャンセル。生き残った別の装置に替わってもらいました。
とても天気がよかったので、すごくざんねん。今夜の分の分光観測は来週に切り替えです。
望遠鏡チームや制御チームは夕陽が沈む頃もまだまだ修復作業にあたっていましたが、夜中前には
回復したようです。スタッフのみなさん本当にご苦労さまでした。

回復を待つすばると月とマウナケア。
  

2005年8月13日 (土)  ふっかつ

昼間に液体窒素も投入して大急ぎで冷却につとめ、今夜は再び観測可能に。今日は撮像モードの
試験観測最終日。撮像は既に9夜ちかくエンジニアリングをやっていて、あとは共同利用装置として
観測所に引き渡されます。もう好き勝手に絵を撮ることもできなくなるんだなぁとちょっと寂しく。
いよいよ半人前になって親元を離れていきます。とはいえ分光モードはまだ当分手がかかります。

天気はカンカン晴れ。最高の条件でデモ用画像も取得。そのうち世間にだせるかも。

2005年8月14日 (日)  沈まぬ太陽、そしてクライマーズハイ

ホノルル行きJALウェイズが飛行中に火を噴いた事故で、みんな戦々恐々。
よりによって御巣高山の墜落事故からきっかり20年。あの日のことはわたしも覚えている。
JALのパイロット試験を受けたからにはいろいろ事故記録も読んだ。どうすればいいんだろうね。
本来どうするべきかということと商業であることとを両立させる仕事は難しい。

話はだいぶかわるけども、うちの装置の光学性能が良くみえるのは、逆に他の装置の光学性能が
実はすばる望遠鏡の性能を活かしきってないのではないかと思い始めた今日この頃。
すばるの第一期装置の光学系は外注が多いけど、商業ベースである限り納期と儲けの兼ね合いで
ある程度の解で妥協されてしまうのは仕方ないこと。研究ベースで2年かけて設計したものと結果
が違うのは当然なのかもしれない。頑張れば総合力でハッブルやAOと対等なデータをとることも
できるというのは励みになる。

2005年8月16日 (火)  さんぽ

アクリマ(高所順応)のためにハレポ泊。夕飯の後、後輩君たちとハレポの隣の小さなシンダーコーン
(あちこちにぽこぽこと点在する噴火口)に登りました。今日登ったコーンはかなり緩やかで簡単に
登れました。夕陽が射すとあちこちのコーンの陰影がくっきりと浮かんできれいです。1時間のいい
お散歩でした。



2005年8月17日 (水)  赤外線多天体分光(MOS)

先週の停電によるキャンセル分の代替観測。まるまる一晩じっくりとMOSエンジニアリング。
今さらですが、MOSむずかしー。
今日でまだ3晩目。まだまだ調整しないといけない誤差とその要因がいっぱいあって簡単には解が
見えない。けど、それを調べるためのデータはたくさん撮れたので、いよいよこれから頑張らないと!

「すざく」の装置も始動した模様。がんばれー。

2005年8月18日 (木)  グリーンカード

すばる内でもグリーンカード取得支援の動きが。抽選よりは確実だけど、すばるでのポジションとか
今後のこととかいろいろ話し合わないと。もちろんあれば便利だよな〜。

2005年8月19日 (金)  3連休だったっけ

ついつい夜型がぬけきれずにやや寝坊。昼に急いでオフィスへ来てみたら、誰も居らず。あっ!

2005年8月20日 (土)  ラ王が、、、

「ラ王」と「ごんぶと」が輸入禁止になってスーパーから消えました。がーん。
最後に残っていた在庫のほとんどはすばるに買い占められて、"山頂ラーメン"として売られてたので、
こないだの観測のついでにとんこつを買ってきました。なんかの時のために大事にとっておこう。

2005年8月23日 (火)  久しぶりのコナ

いとこ一家がハワイ島上陸。山頂へご案内。10歳下でコギャルまっさかりのいとこは山頂でも
けろっとしてました。血筋かな。最後はハプナビーチで夕陽を見てしめくくり。



2005年8月24日 (水)  星空

いとこ御一行とともにハワイ島一周。久しぶりにあちこち行きました。なんか遊ぶ体力ゼロになってるなー。。。
最後にワイコロアの山側のところで満天の星空にであう。すっごい星の数。

2005年8月25日 (木)  IRCS

すばるの赤外線装置のひとつであるIRCSが改修のためにヒロに降りてきていて、フタを外して
アクリル板をはめて中がよく見えるようになっている。ナマでじっくり見たのは初めてかな。
大学院に入って最初のレポートで「どれか一つの装置について詳しく調べよ」みたいな課題で、わたし
はこの装置を選んでとにかく調べた。今の装置を開発することになってさらに調べたし、開発者の
人たちにも何度も質問に行ったし、頂いた図面も勉強したし、赤外線の撮像・分光装置の仕組みや
考え方のほとんど全てはこのIRCS(とCISCO)から教わったと言えるくらい勉強させてもらった。
その中身を初めて見たのはちょっと感動だった。敬意を込めてじーっと見る。

2005年8月27日 (土)  FMOS

今日は山頂で一日お仕事。

山頂では京大から届いた新分光器(カメラ)の組み上げをしていたのでちょっと見学させてもらった。
カメラといっても人が何人か入れるくらいの大きさの冷蔵庫みたいなやつ。1.4メートルの鏡も
入っていた。どえらい装置なんだよね。かけてきた時間もお金も桁違いなのである。

2005年8月28日 (日)  リサイクル

6月にヒロのリサイクルゴミ捨て場が廃止されてしまって紙ゴミがたまっていたのですが、やっと
少し時間ができたので隣町ケアウにあるリサイクルゴミ捨て場まで行ってきました。いつも車に紙ゴミ
満載で走ってたので、かなりすっきりした!

なんで島で一番大きな町のリサイクル場を廃止してしまうのかさっぱり理解できん。ただでさえ
リサイクル意識の低い島なのに、遠くなったら誰もリサイクルしなくなってしまう。

2005年8月29日 (月)  セブンイレブン

最近セブンイレブンでおにぎりが売られるようになりました。「昆布」「鮭」「ツナ」の3つ。これ
が普通においしい!あらかじめ海苔がまいてあって(日本でいうしっとり系おにぎり)具も普通だし、
ハワイアンではありえない塩加減。レンジで温めるとふっくら。しかも$1.15と値段も日本と同じ。
普段は自分でお米を炊くからいいけど、山に行くときとかは便利かも。
セブンイレブンのお弁当系もこの数年でだいぶ変わったと思う。最初はスパム弁当みたいなのが
いくつかしかなかったけど、から揚げ弁当とかマーボー弁当とか焼き魚が入ったのとか寿司とか
種類も増えたしある程度のペースで新作も出てるみたい。私はめったに食べないけどね。

2005年8月31日 (水)  ドライアスの雪

大学時代のクラスメイトが来たので、すばるをご案内。運よく主鏡のCO2クリーニングを見学でき
ました。圧縮した二酸化炭素ガスを噴射することで(断熱膨張)ドライアイスの雪ができてそれを
鏡に吹き付けてゴミを落とす作業。1か月に一回くらいやるやつ。鏡をナマで見られるめったにない
チャンス。左の写真で見えているのが8メートルの鏡(まんなかはカセグレン穴)。手前に見ている
透明の部分が鏡の厚み(鏡を支えるアクチュエータが透けて見えている)。何度見ても思うけど、
直径に対してすごく薄い。しかもアクチュエータ用の穴だらけ。このデザインで行くという決断した
ことがすごいと思う。



山に上がる途中に寄ったオニズカセンターで、今日のすばるの一般見学を申し込んでいたけどオニズカ
から山頂まで上がる手段がないので乗せてくれというチェコ人のおっさんに遭遇し、一緒に上がる。
すばるを見るためにチェコからやってきた熱心なアマチュア天文屋さんで、山に上がるだけでも
ひたすら感激していた。CO2クリーニングも見学できてほんっとに幸せそうにしていた。




とうこくちひろのハワイ日記
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