2004年8月8日(日)


今日はすばるの隣にある「ケックの双子」望遠鏡で見学会をやってくれるというので見に行きました。

ケックはアメリカの望遠鏡です。こんなかんじ↓にすばるのお隣にいる、白くてつるんとした双子です。

(この写真は2002年12月に撮ったもの。遠く後ろに見えるのは隣のマウイ島にあるハレアカラ山。)


 
ついでに、2002年5月と2月に撮った写真。ケック望遠鏡のドームは形がきれいなので、
山頂の望遠鏡の中でも、特に絵になります。



all of today's pictures by Ryuji & Ko
  
ケック望遠鏡は、小さな六角形の鏡を並べた直径10mの望遠鏡です(すばるより2mも大きい)。
しかも、その10m望遠鏡が2台も!あります。
1枚のぐにょぐにょした鏡を一生懸命制御しているすばるとはいろんなところが違います。
主鏡も、望遠鏡構造も、すばるより圧倒的に軽量化されています。もうほんとに
笑っちゃうくらい簡単な造りに見えます。言ってしまえば、見るからに「ちゃちい」です。
でも、すばるより5年も先にできた世界最大口径10mの望遠鏡2台がこれまでたたき出してきた
科学的成果は、すばるより圧倒的にすごいです。ハッブル望遠鏡とケックのタッグは
今でも最強コンビです。すばるはその後を必死に追ってここまできている、という感じです。
数年に一度、鏡のゴミ取り&酸化した鏡面をきれいにするための再蒸着も、小さい鏡
を何個かづつ外してささっとできます(右の写真)。すばるは命がけの二カ月ががり。



  

そしてケックは双子であるゆえに、光干渉計にもなるのです。いや、干渉計にするために双子なのです。
薄暗い長い廊下の両端のつきあたりに「I」「II」と書かれたドーム入口がなんとも言えずかっこいい!
そしてこの地下には集めた光を運んできて干渉させる実験室がありました。



  
数々の歴史的発見を独り占めしてきた観測装置や、「おばけ」装置とも呼ばれるほど
圧倒的な観測効率を誇る最新の「多天体分光器」などが置かれています。
頑張ってもなかなか追い付き追い越すことのできない偉大な装置たちに悪態をつく、すばるスタッフ数名。




なるべく簡単に、なるべく安上がりで、なるべく早くできて、メンテナンスが楽で、
そして致命的なリスクが少ない望遠鏡、そして世界に先駆けて良い発見がいっぱいできる装置。
すばるとケックを比べると、重要なことはなんなのか、考えさせられます。
次世代の30m望遠鏡は、すばるを見てると「8mでも物理的限界カモ、、、」と思うけれど
ケックを見てると「案外さくっとイケるのでは!」と思えてきます。この差は大きい、、、と思います。



最後にドームの外で記念撮影。
案内してくれたオバケ装置開発チームの人は、装置のロゴが入ったかっこいいフリースジャケット
を着ていました。うちの装置チームもロゴ入りジャケット欲しいなぁ。