Hawaii Diary
2004年6月
Twilight at dawn in lava 2004.6
6月 1日(火) この週末は3連休だったらしい。休日とは完全に無縁の生活。
マウナケア山での天文学の可能性を最初に指摘し売り込んできた貢献者
ミツオ・アキヤマさんが亡くなったそうです。1960年の大津波の被害の
後、ヒロの町の再建を考案していたとき、アキヤマさんはマウナケアが
天文観測に適しているのではないかと思い、世界中の大学などに手紙を
書いて売り込みをかけましたが、当初はほとんど返事がありませんで
した。その時ただ一人熱心に応えてきたのが、ジェラルド・カイパー(
知ってる人は知っている)。カイパーがさっそくサイト調査をしたとこ
ろ、「おそらく世界で最高の天文観測場所」ということが発覚。それから
マウナケアは質実ともに地上で世界最高の観測場所として、今のように
発展してきました。彼は生涯、マウナケア天文観測所に貢献してきました。
6月 2日(水) 今日は2年に一回のCPR(心肺蘇生法)トレーニングでした。実際に
そういう場面にでくわしたことはないですが、水泳指導員の試験のとき
に相当しっかりやったのでまだちゃんと覚えています。
あと、AEDのトレーニングも受けました。あの電気をびびっと流して
蘇生させるやつ。アメリカの法律ではOKでも、日本では一般の人の
使用は認められていなかったので、これをハワイで日本人の急病人に
施してうまくいかなかったときに日本の法律に触れないのかなぁと
いつも微妙に疑問でしたが、最近やっと日本でも一般の人の使用
を検討することになったと、つい先週のアサヒコムに書いてありました。
3分以内にAEDで処置すれば4人に3人が救えるということで、重要
な救命用具です。普通は(日本でもアメリカでも)救急車がくるまでに
5分程度かかると思いますが、マウナケアの場合、山頂で何かあったら
救急車がくるまで最低40分はかかります。だから、救急救命トレーニ
ングはとても重要です。
6月 3日(木) 先日のマグマが海に到達したらしいです。写真がすごい。
ラバ(どろどろマグマ)マニアの工場のおっちゃんに仕事を頼みに行くと
いつもつかまってラバビデオを見せられるのですが、今回のはほんとに
すごい。というわけで、もう連日めちゃくちゃ忙しくてほとんど寝てない
のに、今朝、一人でラバを見に行ってしまいました。朝3時前に家を
でて、4時頃にはどろどろマグマのところへ。海に流れ込んでいるとこ
ろは手前がマグマだらけで危なくて近付けませんでしたが、海に流れ
込んで白い湯気が空高くあがり、それが暗闇の中でマグマに照らされ
てオレンジと赤でゆらめいているのが壮絶な景色です。地獄のような。
そしてまた満月がすごい!本が読めるほどの明るさで海の上で冷たく
光っていて、照らされた海原が息を飲むほど美しい!
ラバがゆっくりうごめくのを見ながら、持ってきた温かい紅茶を飲んで
うとうとしながらぼーっとしてたら、すごく落ち着きました。いろいろ
考えごともできたし。あぁ、私はこういう時間が欲しかったんだなぁー
なんて思いました。薄明の頃にはけっこう人も集まってきました。7時
には家に戻り、また朝から夜中までお仕事でしが、今日はちょっと元気
がでました。
6月 6日(日) 日本の若手宇宙飛行士3人が宇宙ステーション滞在要員だけでなく
ミッションスペシャリスト(若田さんとかと同じ運用技術者)の資格も
とるべくトレーニング開始ということで。で、古川宇宙飛行士のコメント。
「新たなことも学べわくわくしている。ただ、宇宙計画の先行きがこんな
に見えないものだとは思わなかった。」ふむ。なるほど。
NASAでは既に約50人が搭乗待機中で、この3人を含めても全員が飛行
できる可能性は低いらしい。いくら訓練が楽しくても宇宙に行けないんじゃ
あんまり意味ないよなぁー。
6月11日(金) はっきりものが見えるということ。
自分をつかむということ。
自分とたたかえるということ。
そして、主観的ではない深い想像力で他を思いやるということ。
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ (茨木のり子)
6月12日(土) 昨日はカメハメハ・デーでハワイ州の休日だったのですが、レーガン元
大統領の国葬のため、全米で休日だったそうです。
そして、レイ・チャールズも亡くなりました。
私はあいかわらず休日なしですが、今週は1日しか家に帰ってなかった
のと、ここ1か月くらいろくな食事をしていなかったので、とりあえず
ちゃんと夕飯を食べてベッドで寝るという贅沢をしました。温泉入りた
いな〜。
6月19日(土) 予想される最悪な事故のうちのひとつをまた踏んでしまって帰れない日々。
やっぱりいまの態勢で何か限界があるのかしら。
来週から始まる国際会議@スコットランド、ぎりぎりまでなんとか行き
たいと思って努力していたけど、忙しすぎて断念。2年前から超楽しみ
にしてて、地球の歩き方も買って、ロンドンから汽車の旅にしようとか
(頭の中ではすっかりハリー・ポッター風景)いろいろ企んでたのにな...。
この仕事をしてる人にとっては2年に一度の大イベントで(それ以外に
会議にでる機会も、同業者が集まることもほとんどない)、特に今年は
就職活動もかねて、紳士のクニの諸機関をいろいろまわってこようと思
っていたのでとにかく残念だし悔しい。座長に発表キャンセルのメール
を書きながら涙ぽろぽろ。
もう次(2年後)はない気がするなぁ。あとは装置を完成させて世界に
知らしめるしかない。
すばるからは何十人もがスコットランドへ大移動。オフィスは静か〜。
6月20日(日) ハリー・ポッターの最新映画観ました。原作の大筋をたどるだけで時間
いっぱい。だいぶはしょられちゃってたのが残念。
イギリス英語なうえに単語が難しいので、聞きとりがむずかしい...。
6月21日(月) 民間初の有人宇宙飛行に成功。これくらいならたぶん十分可能なんだろ
うな。でも初の民間宇宙パイロットが62歳のベテランってのがねぇ...。
地球全体がひとめで見渡せるような距離まで行けるようになるにはあと
どれくらいかかるだろう。月旅行までにはあとどれくらいかかるだろう。
依然としてマグマがすごい。海に流れ込むところをちゃんと見たくなった
ので、夜勤前の夕方に混雑覚悟で行きました。早朝に行くと人が少ない
のもあってどこが安全エリアなのかわりにくくて危険だから。でもさす
がにすごい車の列。徒歩1時間弱で流れ込むのが見えるところに到着。
すごーいっ。どばどばと流れ込むのがはっきり見える。双眼鏡で見る
とさらに迫力大!日が暮れるとさらにマグマがくっきりと光を放ち、
打ち寄せる波に赤黄色いマグマが飛び散るのがきれい。相当な量が相当
な勢いで海に流れ込んでいる。地球はほんとに生きている!
もう3週間もこの勢いで流れ続けてるってすごいなー。
今までで見た中では一番すごかったです。行ってよかったー。
(アップデートの6月17〜18日の写真みたいなのが見えました。)
6月23日(水) 渋谷といい田園調布といい、母校の通学圏(っていうか最寄駅)が連日
ぶっそうなことになってるなー。先生たちも大変だろうなぁ。
6月26日(土) ファーマーズ・マーケットにアンセリウムを買いに行ったら、今日は
背の小さいのを集めた束が一つだけ安売りしてたので、ついつい買って
しまいました。オフィスの空きビンにさして数を数えたら120本くらい
ありました!びっくり。これだけ大量にあるとなんか嬉しい。
6月27日(日) オフィス10連泊もやっとおわり。久しぶりにベッドで寝ました。
6月30日(水) 今日は、すばるオフィスの近くで建設が始まった、マウナケア天文教育
センターの地鎮祭?のようなものがあって、それに合わせて近隣の天文
関連機関が同時にオープンハウス(公開日)イベントを行いました。
すばるも、手作り銀河コーナーや所内のミニツアーなどいろいろ用意し、
ちょうど実験のあいまだった私は、またしても飲まず食わず立ちっぱな
しで働くことになりました。新聞等で宣伝していたのか、子供から
お年よりまでいろんな人がたくさん来ました。ちびっこたちは学校単位
で来ているところもありました。
夕方からの地鎮祭もちょっとのぞきに行きましたが、日本のそれとあまり
変わらず、葉っぱに水をつけてシャカシャカ振ったりするような感じの
を、ハワイアン・チャントを歌いながらやっていました。
とうこくちひろのハワイ日記
アメリカ・ハワイ州ハワイ島ヒロより
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