2003年7月19日(土) 今日は、8月の火星大接近にむけて、NHKの高感度カメラをすばるにつけて カメラチェックを行っています。 時はすでに25時。火星。極以外にも、地形の凹凸がぼんやり写っています。 これはビデオレートの絵です。 右側が欠けているように見えるけど、火星って欠けるんだっけ?
カメラチェックはこんな感じ。山頂の様子を山麓のテレビ会議で見ています。 手前のノートPCでは現在のマウナケアの星空チェック。 ヒロは雨が降ってるけど、山頂は最高の天気で天の川がきれい。 カメラチェックのあいまに、「月を見てみようよ」という声が。 実は、すばるは月を見たことがありません。すばるにある観測装置(カメラ)は、 100億光年も遠くからの微かな光をとらえるような超高感度なカメラばかりなので、 目でみて明るいような天体ではすぐにサチッてしまうのです。 しかも月の視直径は星に比べてすごーくすごーく大きいので、月全体を見ることは 不可能なわけです。かといって新月のときは太陽と重なるので、望遠鏡を向けること すらできない、というジレンマがあります。 でも今日すばるについてるのはNHKカメラ。高感度カメラといっても、観測装置に 比べれば感度が悪いので、ポインティングチェックもかねて月へ向ける...。
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!!!! すっごーーいっ! こんなのが見えてしまいました...! さすが口径8.2メートル! 地上にある8メートル級望遠鏡は、どれも上に書いたようなジレンマがあるため、 月に望遠鏡を向けることはないので、おそらくこんな解像度で地上から月を 見るのはこれが史上初めてのはず。 しかも、これビデオだからホントのリアルタイム映像ってのがすごい。 分解能は1kmほど。アポロの月周回船よりずっと間近に月面を見ていることになります。 これほど見えるとは予想していなかったのでびっくり。 月の地平線の向うに見えるまっくらな暗闇に、私は目が吸い込まれそうになりました。 とそこで、「じゃ、アメリカの国旗見えるかな...」という声。 「静かの海を探せ!」 「アームストロングが降りたのはなんていうクレーター?!」 「今の位置を調べないと!」
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アポロが撮った詳細な月面地図を図書室から持ってくる人、 インターネットでアポロ11号の詳細な着陸地点を調べる人、 望遠鏡を少しづつ動かしながら、地図と照らし併せて現在地を探す人、 と、大変なさわぎに。国旗も月着陸船の打ち上げ台(乗り捨ててある)も 月探査ローバーも、この分解能では無理なのはみんなわかっているけど、 でも必死。とにかく楽しいから。 すばるのポインティング精度でも、月面のレーターをいきなり探すのは困難で、 特徴のあるクレーターを見つけて、そこから望遠鏡の制御の向きと月面地図の 向きを確認したりして作業はけっこう大変。
そのあいだにも、火星のカメラチェックを挟みながら、10分くらいづつ 細切れに探しつづけて、もう薄明が近付く最後の10分、やっと現在地を つかんでさぁあと右へ50km、、、というところで、なんと「静かの海」は ぎりぎり月の影に入っていることが判明。あとほんとにちょっとなんだけど...。 でも、影の部分はどんなに目を凝らしてもただの闇でした。
いつか自分の目で、この距離から月を見ることはあるかな...。 気づいたら朝の5時半でした。 短いけど楽しい月夜旅行だったなぁ。